鳥類調査員
伊関文隆
佐賀県在住の伊関文隆氏は、幼少の頃から自然豊かな環境で育ち、1995年から本格的に野鳥観察を始めました。以来、猛禽類に魅せられ、九州地方において春と秋は各種猛禽類の渡り、夏はサシバの繁殖生態、冬はノスリの越冬生態について長年にわたり調査研究を続けています。これらの研究や、研究中に副次的に得られた成果を年1回発表することを目標に続けており、その深い知識と情熱は、国内で高く評価されています。長年のフィールドワークで培われた観察眼と豊富な知識をもとに、一般の人々にも猛禽類の魅力を伝える活動にも積極的に取り組んでいます。伊関文隆氏は、日本の猛禽類研究を牽引する存在であり、その研究成果は、学術的な価値だけでなく、自然保護活動にも大きな影響を与えています。彼の情熱と探究心は、多くの人々に感動と勇気を与え続けています。
書籍情報
フィールドガイド日本の猛禽類 vol.01 ミサゴ【改訂版】
¥800 (税込880 円)
フィールドガイド日本の猛禽類 vol.05 カタグロトビ
¥800 (税込880 円)
研究活動
サシバの生態調査
巣の発見、繁殖状況のモニタリング、渡りの経路調査など、サシバの生態に関する広範な研究を行っています。
猛禽類の渡り調査
九州における猛禽類の渡りについて、その渡り経路や時期などの研究を行っています。また、GPSなどによる渡りの追跡も大学等の研究者と共同で行っています。
猛禽類の識別と分類
主に渡りの観察・撮影を通じて得られた情報により、ハイタカ属の識別法の確立や、ノスリの分類の再検討など、猛禽類の分類学にも貢献しています。
ツミの換羽調査
撮影された渡りのツミの画像から、これまでタカ目では見られなかった換羽様式を発見し、その英論文により2023年に日本鳥学会の内田奨学賞を受賞されています。
これまでの業績など
資格: 生物分類技能検定2級(2000:動物)
論文: 「春期に九州北西部を西へ渡るハイタカと東へ渡るサシバ・ハチクマ」 (2004:Strix 22)
公演:「春のハイタカの渡り・立石山の記録と北部九州の経路の推測」 (第6 回 タカの渡り全国集会 2005 in 福山)
記事:「沖縄県におけるタカの渡り観察結果」 (2006:希少生物研究会会報vol.1)
記事:「やんばるの自然観察」 (2006:希少生物研究会会報vol.2)
論文:「福岡県におけるハチクマの繁殖初記録 」 (2006:Strix 24)
記事:「九州・沖縄におけるツミの秋の渡り」 (2007:希少生物研究会会報vol.3) 共著
記事:「サシバの繁殖調査」 (2007:希少生物研究会会報vol.4)
ポスター発表:「福岡県におけるサシバの営巣例 」 (日本鳥学会2007年度大会 )
記事:「鷹の旋回速度」 (2008:希少生物研究会会報vol.8)
ポスター発表:「サシバの行動生態−尾は口ほどにものを言う!?− 」 (日本鳥学会2008年度大会 )
記事:「福岡県西部におけるサシバの繁殖状況とハシブトガラスの脅威」 (2009:NPO法人 希少生物研究会会報vol.9)
ポスター発表:「ミトコンドリアDNAコントロール領域の解析から見えてきたサシバの遺伝的構造(予報)」 (2009:日本生態学会第56回全国大会) 共同研究(筆頭:長井和哉氏) 試料収集担当
記事:「ハイタカ属を見極めよう! 」 (2009:BIRDER8,9,10月号)
記事:「2009年秋の道南旅行」 (2009:NPO法人 希少生物研究会会報vol.12)
発表:「福岡県西部におけるサシバの生息環境・ハイタカ属の識別・オオタカの生息環境」 (2010:オオタカ保護基金)
ポスター発表:「GENETIC DIVERSITY AND POPULATION STRUCTURE ANALYSIS OF GRAY-FACED BUZZARD (butastur indicus) IN JAPAN BASED ON mtDNA 」 (2010:ARRCN 6th symposium) 共同研究(筆頭:長井和哉氏) 試料収集担当
論文:「ハイタカにおける成鳥と幼鳥の渡り時期の違い」 (2010:NPO法人 希少生物研究会研究報告書FIELD WORKER1)
記事:「えっ? チョウゲンボウが貯食!? 」 (2011:BIRDER2月号)
公演:「福岡県のサシバ」 (2011:第14回 日本オオタカネットワーク シンポジウム)
ポスター発表:「衛星追跡によるサシバの渡り経路および経路選択様式」 (2011.3:日本生態学会第58回全国大会) 共同研究(筆頭:菅澤承子氏) サシバ捕獲担当
ポスター発表:「タカ科のツミは、初列風切をハヤブサ科のように換羽する」 (2011.9:日本鳥学会2011年度大会 ) 共同研究(筆頭:伊関) 内容全般担当
ポスター発表:「西日本におけるサシバの繁殖地の環境特性」 (2011.9:日本鳥学会2011年度大会 ) 共同研究(筆頭:板谷浩男氏) 営巣地情報提供
ポスター発表:「岩手県および福岡県における育雛期サシバの食物動物とその地域差」 (2012.9:日本鳥学会2012年度大会 ) 共同研究(筆頭:神水彩花氏) データ収集担当
口頭発表:「ツミは複数の換羽様式を持つ非常に稀な鳥?」 (2012.9:日本鳥学会2012年度大会 ) 共同研究(筆頭:伊関) 内容全般担当
自費出版:「フィールドガイド日本の猛禽類 vol.01 ミサゴ」 (2012) 共著
ポスター発表:「岩手県と福岡県における育雛期サシバの給餌動物種およびその重量の地域差」 (2013.3:日本生態学会第60回全国大会) 共同研究(筆頭:神水彩花氏) サシバ巣撮影と餌生物捕獲担当
記事:「脱!初心者、ハイタカ属の識別に挑戦」 (2013.9:月刊BIRDER第27巻第9号)
自費出版:「フィールドガイド日本の猛禽類 vol.02 サシバ」 (2013.9) 共著
記事:「大隅半島のとある山での鷹の渡り」 (2013.12:NPO法人 希少生物研究会会報vol.22)
記事:「野鳥のプロたちの愛用機」 (2013.12:月刊BIRDER第27巻第12号)
論文:「アカアシチョウゲンボウとチゴハヤブサの識別」 (2013.12: FIELD WORKER2013)
論文:「アカアシチョウゲンボウの個体差と識別」 (2013.12: FIELD WORKER2013)
記事:「秋だけじゃない!春のタカの渡り観察ガイド 九州北西部」 (2014.3:月刊BIRDER第28巻第3号)
口頭発表:「景観構造からみたサシバの生息適地の地理的差異と共通性」 (2014.3:日本生態学会第61回全国大会) 共同研究(筆頭:藤田剛氏) 福岡県のサシバデータ提供
記事:「バリエーションに気をつけろ!飛んでるハチクマ識別虎の巻」 (2014.9:月刊BIRDER第28巻第9号) 共著(筆頭:先崎啓究氏)
記事:「種の識別を確実に!飛んでるサシバ識別虎の巻」 (2014.9:月刊BIRDER第28巻第9号) 共著(筆頭:伊関)
写真提供:月刊BIRDER第28巻12号 (2014.12) クマタカ雄成鳥2枚
口頭発表:「繁殖成功からみた高次捕食者サシバの生息適地モデルにおける転用可能性」 (2015.3:日本生態学会第61回全国大会) 共同研究(筆頭:藤田剛氏) 福岡県のサシバデータ提供
ポスター発表:「形態的特徴から考えるノスリの分類の再検討の必要性」 (2015.9:日本鳥学会2015年度大会 ) 共同研究(筆頭:伊関)
写真提供:月刊BIRDER第29巻10号 (2015.10) マダラチュウヒ幼鳥2枚
自費出版:「フィールドガイド日本の猛禽類 vol.03 ハイタカ」 (2015.11) 共著
口頭発表:「福岡県におけるサシバの生息状況」 (2015.12:日本オオタカネットワーク ワークショップ2015) 発表資料作成(他の方に発表していただいた)
写真提供:月刊BIRDER第30巻2号 (2016.2) ミサゴ、トビ各4枚
論文:「Context Dependent Effect of Landscape on the Occurrence of an Apex Predator across Different Climate Regions」 (2016.4:PLoS ONE 11(4)) 共同研究(筆頭:Go Fujita氏) 福岡県のサシバデータ提供
口頭発表:「ネットがかけられた鉄塔で繁殖したミサゴの事例」 (2016.12:日本オオタカネットワーク ワークショップ2016)
論文:「福岡県におけるサシバButastur indicusの営巣環境─地域に よって異なる特性─」 (2017:日本鳥学会誌66(2)) 共同研究(筆頭:伊関)
自費出版:「フィールドガイド日本の猛禽類 vol.04 ノスリ」 (2017.11) 共著
記事:「飛んでいるタカを見分けるために~タカ飛翔識別の“基本のキ”」 (2018.9:月刊BIRDER第32巻第9号)
記事:「福岡県立石山におけるチュウヒ類の渡り」 (2018:チュウヒ保護ネットワーク ニュースレターNo.4)
口頭発表:「福岡県におけるサシバの生息状況」 (2018.11:日本オオタカネットワーク ワークショップ2018) 資料作成のみ(他の方に発表していただいた)
論文:「Analysys of the Genetic Diversity and Structure of the Grey-Faced Buzzard (Butastur indicus) in Japan, Based on mtDNA」 (2019:Zoological Science 36:1-6) 共同研究(筆頭:Kazuya Nagai氏) サシバの羽根多数提供
記事:「二人で食べた方が美味しい?」 (2019:日本オオタカネットワーク・ニュースレター第37号)
自費出版:「フィールドガイド日本の猛禽類 vol.01 ミサゴ(改訂版)」 (2020.4) 共著
自費出版:「フィールドガイド日本の猛禽類 vol.05 カタグロトビ」 (2020.4) 共著
論文:「The significance of region-specific habitat models as revealed by habitat shifts of grey-faced buzzard in response to different agricultural schedules」 (2021.11:Scientific reports 11) 共同研究(筆頭:Kensuke Kito氏) サシバのデータ提供 関連する鬼頭健介氏筆頭(共著伊関)の研究発表:「水田に依存しないサシバ 田植え時期の遅れと餌の種プールの効果?」2018.9日本鳥学会大会ポスター発表、同題2019.3日本生態学会ポスター発表、「里山景観を一変させる田植えのタイミングの地域差がサシバの生息地評価に与える影響」2019.9日本鳥学会大会ポスター発表、「農事歴の違いに起因するサシバの生息地選択の地域差:餌資源を介した影響」2020.12バードリサーチ鳥類学大会、「Surmising major prey species for Grey-faced buzzards in Kyushu –Differences between regions with different agricultural schedules in paddies-」2021.3日本生態学会口頭発表
論文:「Unique and Complicated Wing Molt of the Japanese Sparrowhawk Accipiter gularis」 (2021.6:山階鳥類学雑誌 53巻1号) 共同研究(筆頭:伊関)
記事:「糸島に生息する猛禽類」 (2022:日本野鳥の会福岡支部・野鳥だよりふくおか)
論文:「GPS tracking of the two subspecies of the eastern buzzard (Buteo japonicas) reveals a migratory divide along the Sea of Japan」 (2022:Ibis) 共同研究(筆頭:Toru Nakahara氏) B.j.burmanicusを含むノスリ探しや捕獲を担当
論文(研究ノート):「ウスハヤブサの可能性のある下尾筒に縦斑がある個体の九州における記録および下尾筒の模様がハヤブサの亜種の識別点になる可能性の検討」 (2023.6:山階鳥類学雑誌 55巻1号)
受賞:2023年度日本鳥学会内田奨学賞(ツミの換羽様式に関する研究)
黄色:筆頭or単独で作成した査読ありの主要な論文
所属団体
NPO法人 希少生物研究会
日本野鳥の会福岡
日本鳥学会
日本オオタカネットワークの各会員